ヒューマンインターフェイス雑感 (その12).
by. 安村通晃 Feb. 3, 2001
ヒューマンエラーは事故原因か?
1月31日午後4時少し前に、焼津市上空で、日航ジャンボ機(907便)と 日航DC10(958便)とが
ニアミス
を起し、40数名の負傷者を出した。
この事故で2月3日の朝日新聞朝刊社会面やNHKニュースなどで、事故は 管制官が便名を
いい間違え
たことによる単純な人的エラー(ヒューマンエラー)が原因と、 一斉に報じた。
管制官が、成田に向かって水平飛行から降下に移ろうとする958便に対して 指示を与えるつもりで、沖縄那覇空港に向かって羽田から飛び立ち上昇中の 907便に対して、降下せよとの指示を間違って出したのは
事実
であろう。
しかし、これは単なる現象を述べているに過ぎない。機械と異なり人は誤りやすい 存在であることを理解していれば、「ヒューマンエラーが事故原因」などと 言って済ませては居られない。問題は、なぜ管制官がいい間違えをするような 管制システムになっていたかである。おそらく、レーダーとコンピュータ スクリーン上に便名やその他の情報が映し出されているだけで、実際の パイロットが目視で他の航空機を確認した場合と全く異なり、それぞれの 航空機の実感としての存在感、識別が不十分であったことにこの事故の 本当の原因が潜んでいるように思える。
管制官のミスを指摘し、マニュアルや訓練だけを重ねても、おそらく同様な ミスやエラーが生じうると思う。一日も早い、本来の原因の究明と管制システム、 特に、表示計の認知的インタフェースに立脚した検証と改善を望む。
前線や低気圧の接近とアレルギー発作の関連
アメリカに居た当時、枯れ草アレルギー(Hay Fever)にかかったり、 日本に帰ってきてからも、杉花粉のアレルギーに悩まされた時代もあったが、 最近では、特定の抗原から起るアレルギーではなく、主に温度差による アレルギー症状を起す頃がよくある。
それが、低気圧や前線が近づいてきたときに起りやすいことが経験的に 分かっている。くしゃみだけではなく、頭痛が起ったり、体がだるくなったりも する。体調が悪いときの多くの場合が、低気圧や前線の接近中である。
医者にこのことを尋ねたところ、それは関係ありません、とにべもなく 否定されてしまった。
そこで、調べてみると、たとえば、新田次郎の「珊瑚」という小説の中に 嵐が近づく前に頭痛がする漁師の話が出てくる。また、
喘息と気圧配置の関係
もある程度は分かっている。
気圧変化が、肺の空気圧を変え、ひいては血中の酸素濃度を変えることは容易に 予測がつく。この辺りの医学的な研究事例を是非調べてみたいと思っている。
これにつけても思い出されるのは、明治の頃の「脚気」に対する理解の仕方だ。 海軍ではいち早く食事が原因との判断から食事を変える試みを始めるが、 陸軍はドイツ医学の影響を受け、細菌説に固執したため、対策が遅れ、 日露戦争などで戦死者よりも多くの脚気による病死者を出したりしている。 ビタミンの存在が知られる前の話である。海軍で食事療法を開始したのは 英国で医学を学んだ
高木兼寛
である。 彼の伝記的小説「白い航路」(吉村昭著、講談社)に詳しい。 高木兼寛は慈恵医大の創設者でもある。
細菌説
を固持し、高木兼寛と学会で対立したのが、あの有名な森鴎外(森林太郎) であった。
屋外/身体的なゲームを探る
近頃の子どもが(というと、とたんにおじさん臭くなるが)戸外で遊ぶことを 見かけることがとんと無くなった。テレビゲームが流行り、塾やお稽古通いで 子どもも忙しいのであろう。また、舗装が行き渡り、適当な草原や路地、雨が 降ればぬかるみになるような広場が減ったこともあろう。
子どもの頃を振り返ると、辺りが暗くなるまで泥だらけになり、手足についた 擦り傷をなめたりしながら良く遊んだものだ。
その頃遊んだことと言えば、ビー玉、めんこ、Sケン、だるまさんが転んだ、 陰踏み、缶蹴り、水雷・火逐・潜水艦、縄跳び、釘指し、などなどであった。 これらのルールはどうだったのか、正確に思い出したいと思い、学生レポートの 一部としても出したが、昔の遊びで今はほとんどやられてないもの、逆に 我々の子ども時代(1950年後半〜末くらい)にはなかった遊び (たとえば、泥警)を今の学生たちが子ども時代にやっていたなどが分かった。
卓上ゲームについては本や辞典などが数多くだされているが、上で述べたような 屋外の身体的ゲームこそ、記録に留めるべきではないか、と考える。
Webで検索してみると、ほとんど唯一あるのが、
アナクロゲーム大辞典
だけ位である。
いつか、きちんとこのような屋外/身体ゲームを整理してみたいと思っている。
以上のことで、ご意見のある方、情報をお持ちの方は、 ぜひ安村(yasumura(at)sfc.keio.ac.jp)までご連絡下さい。
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